会社の売却は、ほとんどの方にとって未経験のことです。下記に大まかな流れをお示ししますので、参考にされてください。
友好的M&A取引の進め方
日本ではM&Aというと、敵対的M&Aの「乗っ取り」「マネーゲーム」等の悪いイメージがありますが、これらは一部の特殊な事例がマスコミ等で報道されることによるものだと思われます。しかし実際には、殆ど全てと言って良いくらい、M&Aは友好的な話し合いによるものです。
具体的手順は下記のようなものですが、これにさらに手続き・契約が付加されるケースや逆に省略されるケースもあります。
ノンネームシートの作成
ノンネーム(名前無し)、すなわち売却対象企業の企業名を明かさないで、企業概要だけを伝えるための書面を作成し、買い手候補にその買い意向を打診します。これにより、売却対象企業が売却対象であることが、業界や地元に広がらないようにします。
売り手や仲介会社は細心の注意をもって、このプロセスに取り組まなければなりません。
意外に多いのは売り手企業の取締役等の幹部から売却の情報が漏れることです。中小企業の売却に際しては、最終段階までは、できれば経営者1人で取り組むくらいの注意が必要かもしれません。
また、メインバンク等へも売り手と買い手の最終合意までは話を明らかにしないほうが良いかもしれません。意外なほど漏れると思っていたほうが良いかもしれません。
秘密保持契約
具体的交渉に入る前に秘密保持契約を結びます。これによりお互いの取り組もうとしているM&Aに関する情報が外部に漏れないようにします。相手が上場企業であればインサイダー取引等の事件に巻き込まれる恐れもあります。
デューデリジェンス(事業査定・資産査定調査)
売却対象企業の事業価値や資産価値の査定、リスクの事前把握およびそのリスクを反映させた契約書による必要な手当て、などを目的として、デューデリジェンスという監査が行われます。
買い手側は必要に応じて公認会計士・税理士・弁護士なども使い、売却対象会社の様々な財務状況や法令順守状況を調査します。これらの専門家はネガティブチェックすなわち、負の側面が無いことのチェックを主に行います。
しかし、買い手側にとって本質的に重要なのは、買収対象企業がどんな強味を持っているかの正の側面を把握することです。この強味・正の側面の把握は、業界に詳しい買い手企業自身が行うことが重要です。買い手企業は専門家任せにせず、また買収が失敗したときの言い訳にせず、自らがデューデリジェンスの主役であるという立場を認識したうえで、デューデリジェンスに臨むことが求められます。
一方、売り手側も、負の側面は包み隠さず開示し、その上で、積極的に自社の強みをアピールし、高く評価してもらうことが重要です。
※契約書等により、隠ぺいしていた負の側面が、後日、明らかになった場合は、損害賠償すること等を求められることも一般的です。
基本合意書
秘密保持契約に続き、お互いの基本的な条件や方向性を、仲介会社(当社)を仲立ちとしてすり合わせを行います。方向性の一致を確認できた場合、基本合意書を締結して、具体的交渉に先立って一定の合意を行うことがあります。
契約締結
合併契約書、株式売買契約書などの必要な契約書が作成され、締結されます。その書類は、当事者同士か、弁護士、M&A仲介会社が中心となって行い、デューデリジェンスの結果を反映することになります。
契約締結に先立って、必要に応じて、各当事者の社内手続(取締役会や株主総会などでの決裁)を経るとともに、関連官庁(業規制当局や競争法当局)の許認可等を得ることが必要な場合もあります。
契約に盛り込まれる色々な条件
売り手と買い手が同意すれば、例えば下記のような様々な条件を契約に持ち込むことができます。
- 従業員のリストラは一定期間行わない。
- 一定期間は事業の一部譲渡等は行わないこと。
- M&A実行時には全ての株式の移転は行わず、一定期間経過後に一定の条件の下、あらかじめ約束した価格で残りの株式の移転を行うことができる、あるいは行わなければいけない。
- 現社長はM&A後も一定期間は会社に残って顧問、取締役、代表取締役等として継続的に経営に関与しなければならない。
- 現社長の子息を一般従業員として一定期間は雇用継続、あるいは採用しなければならない。
その他、様々な条項を契約書に盛り込むことができます。
M&Aの実行
契約によって定められた日に決済がなされ、M&Aが実行されます。
仲介会社に支払う手数料について
不動産売買では、売り手と買い手が不動産仲介会社にそれぞれ約3%の手数料を支払いますが、M&Aでは不動産売買以上に時間や手間がかかることが多いため、売り手と買い手がM&A仲介会社にそれぞれ約5%の手数料を支払うことが一般的です。
売買金額が著しく低くなる場合は定められた最低手数料を支払うことも一般的です。
いくら以下ならば最低手数料を支払わなければいけないのか、また、着手金が必要になる仲介会社もあります。それらの手数料の水準はM&A仲介会社によって異なります。
まず行うべきこと
まずは信頼できるアドバイザーに相談されることをお勧めします。
当社は、M&A成約時にかかる仲介手数料等が国から補助される「事業承継・引継ぎ補助金」の補助金受給要件を満たす中小企業庁『M&A支援機関に係る登録フィナンシャルアドバイザー・仲介会社』です。
当社の下記連絡先へ是非お気軽にご相談ください。