中小企業のM&Aにおいて、仲介会社の担当者が、当事者である中小企業がよく解らない横文字(英語)の用語を多用するようなら、相手の気持ちの解らない方の恐れがありますので、一生の一大事であるM&Aを任せるにはふさわしくないかもしれません。気を付けた方が良いと思われます。
それでも、当事者である中小企業の経営者も、中小企業のM&Aでよく使う用語は、ある程度は解っていたほうが良いと思います。
下記にM&Aについての用語を説明します。
※よく使われる主な用語を載せていますが、さらに充実させていきます。

 

M&Aの様々な手法

 

M&Aの実務で知っておいた方が良いこと

 


 

M&A(えむあんどえー)

他の企業やその事業・資産を取得しようとする際、様々な手法が取られる。吸収合併、株式の取得・移管(TOB含む)、事業譲渡、会社分割、合併などがある。広義には、合弁会社設立を含めた資本提携や業務提携、OEM提携などを含む。
M&Aは新規事業や市場への参入、企業グループの再編、事業統合、経営が不振な企業の救済、資金手当てなどを目的として実施される。
日本法上の概念としては、合併・会社分割・株式交換・株式移転・株式公開買付などの法的要素が核となるがこれらの各要素は対象企業のコントロールを得る手段として捉えられ、M&Aという場合には利用する手段のデザインを含めた企業戦略を把握する概念として用いられることが多い。

英語

Mergers & Aquisitions

 


 

 

株式譲渡(かぶしきじょうと)

M&Aにおける株式譲渡とは、対象会社の株式を売買することによって経営権を移転させる手法をいう。
経営上の支配権を移転するには、少なくとも議決権の過半数の移転が必要であり、特別決議要件等を考慮すると発行済株式数の3分の2以上の譲渡を想定することが一般的。
手続が簡便で迅速なため、中小企業のM&Aでは、最も一般的に用いられる手法。

英語

Stock Purchase

 


 

 

事業譲渡(じぎょうじょうと)

事業譲渡とは、会社がその事業を譲渡することをいう。譲渡については、譲渡会社の競業禁止や、譲渡会社又は譲受会社の内部手続に関し、事業譲渡の場合には会社法21条に明文規定があり、当事者間に何も合意がなければ20年の競業避止義務が発生します。
会社法では商人一般についての「営業譲渡」とは区別し、会社については「事業譲渡」という用語を使用しています。

英語

Asset Purchase

 


 

 

MBO(えむびーおー)

MBOは、会社経営陣が株主から自社株式を譲り受けたり、事業部門統括者が当該事業部門を事業譲渡されたりすることで、オーナー経営者として独立する行為。
経営陣による買収、他者買収への対抗策、いわゆる「雇われ社長」が自己所有化する場合などの場面で用いられ、会社商号や屋号などを継承する場合も多い。
いわゆる「のれん分け」に用いられる場合もある。

英語

Management buy out

 


 

 

合併(がっぺい)

 合併を行う方式としては、吸収合併と新設合併がある。
吸収合併とは、合併の当事者となる会社のうちの一つの会社を存続会社として残し、もう一方の会社の権利義務を存続会社に承継させて消滅させるものをいう(会社法2条27号)。
 例えば、A社とB社が合併するケースで、A社がB社の権利義務を承継し、B社は消滅することになる。ここでいう存続とは法人格の存続をいう。ただし、特例有限会社は会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第87号)第37条の規定により吸収合併存続会社となることはできない(この為、特例有限会社同士の吸収合併もできない)。
 新設合併とは、合併の当事者となる各会社を解散して、新たに設立する会社に全て承継させる方式をいう(会社法2条28号)。例えば、新たに設立されたC社に、A社およびB社の権利義務を承継させることになる。
 実際の合併では、吸収合併によることが多い。これは、新設合併は、株式上場企業の場合には改めて上場申請を要することや、銀行など許認可や事業免許を要する業種では、新設会社による許認可や免許の再取得が必要となるなど、事務手続きの処理が非常に煩雑となることが理由であることが多い。

英語

Merger

 


 

秘密保持契約(ひみつほじけいやく)

NDA(エヌディーエー)やCA(シーエー)と呼ばれることが多い。
秘密保持契約とは、法人間等で締結する営業秘密や個人情報など業務に関して知った「秘密」を「第三者」に開示しないとする契約。
この場合、「秘密」からは、すでに公開済みのものや独自にないし別のルートから入手されたものなどを除くことが多い。また、「第三者」からは、当該取引に関連する関連会社や弁護士、公認会計士などを除外することが多い。さらに、行政や裁判所の要求する場合、その他法律上開示義務がある場合などが除外されることが多い。
機密保持契約、守秘義務契約ともいう。
同時に秘密情報の利用禁止が定められることも多い。
違反した場合は、相手に損害賠償請求権、差止請求権が生じるように契約内容に記載することが多い。

英語

Confidential Agreement
Non-disclosure agreement

 


 

 

ノンネームシート(のんねーむしーと)

M&Aの売却対象企業の概要を、対象企業が特定されない程度に匿名(名前無し:Non-name)で簡単にまとめたもの。
M&Aの仲介業者が買い手候補先への打診の際に使用する。
打診した候補先が関心を示したら秘密保持契約を締結後、詳細情報を開示して買収についての検討を行う。

英語

Non-name Sheets

 


 

 

クロージング(くろーじんぐ)

M&Aにおいては、株式譲渡・事業譲渡・合併等の一連の取引が完了することをいう。
最終契約が締結され、代金決済までが終了することをいうことが多い。

英語

Closing

 


 

 

LOI(えるおーあい)

基本合意のこと。
譲渡の対象範囲(株式や事業等)、その金額等のM&Aの基本的な条件を合意した段階で、その内容をお互いに確認するための文書を締結すること。
この合意で、売り手が買い手に、独占交渉権と買収監査(デューデリジェンス)の機会を付与することが多い。
一部条項を除き法的拘束力は持たないようにすることが一般的である。

英語

Letter of Intent

 


 

 

 

EBITDA(いーびっとでぃーえー)

利払前、税引前、償却前利益のことをいう。
税金や金利を支払前の本業が稼ぐ収益力を示すとともに、会社によって異なりうる償却方法の差を排除できるため、当期利益よりも、実態の収益を示す指標としてよく用いられる。
また、簡易的なキャッシュフローを示す指標としても用いられる。

英語

Earnings Before Interest,Taxes, Depreciation and Amortization

 


 

 

 

NDA(えぬでぃーえー)

秘密保持契約と同じ意味。Non Disclosure Agreementの略。
CAともいう。

英語

Non Disclosure Agreement